2026年10月10日、北海道大学創基150周年記念事業の一環として、「オペレーションUMIシンポジウム2026 in HAKODATE」をプレミアホテル CABIN PRESIDENT 函館で開催しました。
オペレーションUMIは、北海道大学・ハワイ大学マノア校・沖縄科学技術大学院大学の3校が、海洋学分野における教育・研究を共同で推進するプロジェクトです。会場での参加者は85名、オンラインでの参加登録者は69名でした。本シンポジウムは、北海道大学大学院水産科学研究院上廣海洋学分野が主催となり、北海道大学、ハワイ大学、沖縄科学技術大学院大学(OIST)、そして函館水産試験場の研究者による最新の研究成果を共有し、地球温暖化が海洋環境および海洋生態系に及ぼす影響について理解を深めることを目的としました。
講演では、上廣海洋学分野の野村大樹教授が極域海洋の物質循環に雪氷融解が及ぼす影響について、そして大槻真友子特任助教がグリーンランドの海洋生態系と先住民の暮らしについて発表を行いました。また、上陸台風の熱力学的過程、北海道の極端気象と海洋変動の相互作用、北太平洋における海洋熱寒波と赤潮との関係など、多様な研究成果が紹介されました。気候変動がハワイの水産重要種に及ぼす影響、サケマス類の成長と水温の関係、海洋環境変化に応じた道南のコンブ養殖技術の開発についても報告が行われました。これらの講演を通じて、地球温暖化の影響は海水温の上昇にとどまらず、大気と海洋の相互作用、極端現象の発生、海洋生物の分布や生理、生産活動にまで及ぶことが示されました。とりわけ、2021年の道東赤潮や道南のコンブ養殖に関する研究は、海洋環境の変化が北海道の水産業に直接的な影響を及ぼすことを示すものであり、地域の実情に即した研究と適応策の重要性を浮き彫りにしました。
後半には、大泉潤函館市長、清水洋平函館水産試験場長、寳金清博北海道大学総長、藤森康澄北大水産科学研究院長がパネルディスカッションに登壇し、研究成果を地域社会と共有し、海洋環境の保全と水産資源の持続的利用につなげるための議論の場が設けられました。気候変動やその影響に関する研究成果をどのように公共政策や産業に活かすか、また今後も続く温暖化した環境で持続的な水産業を営んでいくために大学や研究者がどのような役割を果たすべきかについて、有意義なディスカッションが行われました。
本シンポジウムは、国際的な研究知見と北海道の地域課題を結びつけ、海洋環境の変化を科学的かつ多角的に捉える良い機会となりました。今後も、大学間・研究機関間の連携を深めるとともに、地域社会との対話を通じて、気候変動への適応、水産業の持続可能性の確保、次世代の海洋科学への関心醸成に貢献することが期待されます。
文責 上廣海洋学分野主任 笠井亮秀

講演の様子(北大上廣海洋学分野 教授 野村大樹)

講演の様子(北大上廣海洋学分野 特任助教 大槻真友子)

パネルディスカッションの様子

シンポジウム関係者集合写真
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