孫特任助教が北海道大学附属練習船おしょろ丸に乗船・調査中です。随時、調査の様子を報告します!
乗船していたハワイ大学実習生からコメントをいただきました!
出会いに恵まれた航海(Kyoko Suzuki)(8/6更新)
入港日の朝、函館山が霧の中からぼんやりと姿を現しました。北極海と太平洋を渡る航海が始まって三週間。広い海にポツリと浮かぶ陸を目にするのは久しぶりで、帰ってきたという安心感と、もう一度あの大海原に戻りたいという名残惜しさに包まれたことを覚えています。
私たちハワイ大学海洋地球理工学部の学生二人は、北海道大学水産学部附属練習船「おしょろ丸」に乗船し、7月初旬にアラスカ北西部のノームを出航しました。その後、ベーリング海峡を越え、北緯70度、北極圏へと突入しました。北極圏は7月とはいえ、気温0度前後。真夏にもかかわらず、外で吐く息が白くなることに少し感動しました。霧で視界の悪い中進んでいくと、やがて海面のあちらこちらに白い海氷が浮かぶ景色が広がっていました。その瞬間、これまで言葉としてしか知らなかった「北極航海」というものを、初めて肌で実感しました。
以前、ハワイ大学留学センターの方から、「何が一番ホームシックになりそうですか」と聞かれたことを覚えています。私は思わず、「陸です」と答えました。建物もなく、街もなく、文明から切り離されたような海の真ん中で感じるであろう孤独さをなんとなくイメージしていました。
しかし、実際のおしょろ丸での生活は、私の想像とは全く違うものでした。
北極航海中の私たちは、生物多様性にあふれる海と、船員の皆さん、研究者の方々、そして学生たちがつくる温かな輪に囲まれていました。大海原に花が咲いたようなおしょろ丸のコミュニティー。どこまでも続く青い海と、その上に一本の線を描く水平線。そして沈むことなく海を照らし続ける太陽。そのすべてが私の想像をはるかに超え、まるで夢の中にいるような毎日でした。
もちろん、この航海では海洋観測に必要な実践的な技術や知識を数多く学ぶことができました。しかし、それ以上に私の心に深く残っているのは、出会いに恵まれたということです。一緒に食事をし、一緒に掃除をし、観測を終えた後は、お菓子を囲みながら笑い合って一日を締めくくる。おしょろ丸には、ただ研究のために集まっただけではない、北極圏を目指すという特別な情熱を共有する仲間たちとの強い絆で結ばれた「コミュニティー」がありました。今でも、自分がこのコミュニティの一員として航海に参加できたことが信じられません。憧れ続けてきた研究者の方々に囲まれながら過ごした毎日は、まるで夢の中にいるようでした。
さらにこの経験は、STEM(理系)の世界で自分の居場所を見失いかけていた私に、研究への情熱を改めて思い出させてくれました。この航海を通して、北極環境問題と向き合う研究者の方々や、同じ志をもつ学生たちと時間をともにし、「私もこの人たちの背中を追い、研究の道へ進みたい」と心から思えるようになりました。
このような貴重な経験ができたのは、いつも支えてくれる家族、友人、研究室の仲間たち、そして指導教員であるジャスティン・スカ先生のおかげです。心から感謝しています。
結局、陸は最後まで恋しくなりませんでした。今はただ、この素晴らしい仲間たちともう一度北極へ戻れる日を楽しみにしています。
(原文)
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観測を通して学ぶ北極海の海洋循環(7/28更新)
レグ2航海後半では、毎日異なるテーマについて学ぶ講義が行われています。その最初の講義では、物理海洋学をテーマに、北極海の海氷減少の現状と、それが北半球中緯度地域に暮らす私たちへ与える影響について学びました。午後の実習では、航海中に取得した現場観測データを用いて、水温・塩分の鉛直分布を解析し、それぞれの水塊の特徴や北極海における循環経路について理解を深めました。学生たちは、観測データから異なる水塊を識別し、その形成や移動の仕組みについて考察しました。
また、航海期間中には植物プランクトンおよび動物プランクトンのサンプリングも継続して実施しています。航海最終日には、採取した試料をもとに、緯度や水塊の違いによる植物プランクトン・動物プランクトン群集の組成変化について発表を行う予定です。

T-Sダイアグラムを用いて水塊の特性について議論する学生たち

NORPACネットで採集した動物プランクトンを顕微鏡で観察する学生たち
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乗船中のハワイ大学実習生からコメントをいただきました!
ハワイ大学生が見た北極航海(Ruby Helmuth)(7/23更新)
北極航海を表現する言葉は、「格別」以外に見当たりません。私は毎日、北極海に関する興味深いことを学んでいます。観測機器を海に投入するたびに、海洋学の理解を深める実践的かつ高度な技術を着実に身につけています。一緒に作業する研究者や乗組員の皆さんは、彼らの専門に沿った、これまでに私が受けたことがない実習プログラムを提供してくれています。
さらに、おしょろ丸は、親切で思いやりにあふれたコミュニティです。科学の場においても人とのつながりが大切にされ、友情とメンターシップが育まれています。一緒に日没を眺めたり、飲み物やお菓子を分け合ったり、暖をとるためにダンスをします。私が本プログラムに参加するきっかけは、北極でした。しかし、記憶に残るのは、おしょろ丸で出会った人たちだと実感しています。おしょろ丸が日本の心を北極海へ運んでいると自信を持って伝えることができます。
(原文)

コンパスデッキでの集合写真
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MOHT観測を実施しました(7/21更新)
小型の稚魚や中深層性魚類、動物プランクトンを採集するために設計されたフレーム型トロール「MOHT」を用いた観測を実施しました。今回の観測では、バケツ一杯分の生物試料を採集することができました。採集された試料には、多量の藻類や動物プランクトン由来のゼラチン状物質が含まれていました。そのため、学生たちは試料を丁寧に選別し、その中から仔稚魚や魚卵を取り出す作業を行いました。選別された試料はエタノールで固定され、函館への帰港後に、より詳しい分析が行われる予定です。

採集した試料を選別する学生たち。
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最北観測点での海氷採取(7/17更新)
おしょろ丸は、今回の航海における最北の観測点(北緯70度30分)で、海氷試料を7個採取しました。海氷の直径は約1~1.5 m、厚さは約0.2~0.5 mで、氷の中心部の温度は0〜–1.3℃でした。採取した海氷については、ハワイ大学からの参加学生と公開実習生が協力し、大きさや塩分を測定しました。
学生たちは、実際に海氷に触れながら、海氷観測の基本的な手法を学びました。測定後、海氷試料は小さく切り分けてそれぞれ密封し、今後の実験に向けて保存しました。一部の試料は融解させ、学生を対象とした次の実験に活用する予定です。今回の海氷採取は、北極海の環境を身近に学ぶ貴重な機会となりました。

海氷の大きさと塩分を測定する学生たち
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ノームにおけるおしょろ丸北極航海の乗船メンバー交代(7/13更新)
アラスカ・ノームにおいて、おしょろ丸北極航海の乗船メンバーの交代が行われました。レグ1乗船者の無事の帰港下船を祝い、長期間にわたる観測・研究活動への労をねぎらうとともに、これから北極海へ向かうレグ2乗船者の安全で実り多い航海の成功を祈念しました。
乗船交代期間中には、参加者同士でノームの街を散策し、交流を深めながら和やかな時間を過ごしました。また、上廣海洋学分野から北極航海に参加したメンバー全員が一堂に会する貴重な機会となったため、おしょろ丸を背景に記念のグループ写真を撮影し、本航海の節目を記録しました。

上廣海洋学分野 北極航海参加者の集合写真
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